ちろるの思い出

今年5月に閉店して、9月に同じ場所にオープンした「珈琲亭 ちろる」に行きました。

ちろるに行ったのは前のお店のときに1度、今回で2度目なので常連ではありません。「ちろる」が登場する、三浦綾子さんの「氷点」を読んだこともありません。

こんな通りすがりの自分ですが、ちろるには思い出があります。

旭川に勤めていたとき、汽車通勤をしていました。

都会の電車と違って、本数があるわけではありません。最寄り駅から旭川までは2時間に1本。美瑛から旭川までは1時間に1本。そして1~2両編成のワンマンカー。

通勤・通学時間帯に乗る顔ぶれはいつも同じなので、話したことはなくても「今日はいる」「今日はいない」と自然に認識してしまいます。

途中駅から乗ってくる女性もそんな感じで覚えてしまい、席をつめたか何かがきっかけで会釈をする仲になりました。

汽車を降りてからどこに向かっているのかは知りませんでしたが、ある朝会社の入っているビルの鍵を開けているときに、その女性が横を通り過ぎたので、駅からさらに遠くに向かっていることが分かりました。

ある年の花フェスタ旭川では、その方をお見かけしました。花好きなのかしらと、思ったりしました。

休みの日、一度も入ったことがないので入ってみようかしらと何気なくちろるに入ったら、その女性がエプロンをして立っていました。案内されるまま席につき、オーダーして、食べ終わって出るところで、思い切って話しかけてみたら、その女性も「私」だと気がついていたようです。

そして「私」を、鍵を開けていたビルにある美容室のスタッフだと思っていたようです。

その後会社勤めをやめたので、会うこともなくなり、そしてちろるも閉店となりました。
新しいちろるには、その女性はいませんでした。

お元気でしょうかと思う今日この頃です。

おにぎり御膳
暖炉のそばにはなぞの置物。